日曜劇場『GIFT』櫻井翔の演技に期待の一方、“違和感”も…伍鉄が選手を「突き落とした」シーンって、どれだ?
5月31日に第8話が放送された堤真一主演の日曜劇場『GIFT』(TBS系)。9話の次回予告では「最終回前」「最終章 前編」という文言も表示されており、今回はクライマックスとなるであろう日本選手権に向けての“ブリッジ”のような内容だった。
【画像】櫻井翔さんの出演シーン
いろいろなセリフが有機的につながっていて感慨深くなるし、今後の伏線にもなるのだろうとワクワクできたのだが……これまでも散見された違和感が、残念ながら今回も存在していたというのも正直なところだ。まとめていこう。
人香から「結婚は無理だと思うな」と言われてしまうほどに涼は「1人で決めていた」
※以下、『GIFT』第8話の内容に触れています。
第8話序盤で、車いすラグビーチーム「ブレイズブルズ」元エースの宮下涼(山田裕貴)は、強引かつ独善的なプレイをするエース候補の朝谷圭二郎(本田響矢)に対して、「1人で行けば選択肢は1つだ。2人で動けば何倍にもなる! 俺もそれを見失っていた時期があるからよくわかんだよ!」と声を荒げていたのだが、実際は涼も圭二郎と同じく、まだ「1人で決めていた」とも言える。
例えば、涼は記者の霧山人香(有村架純)に心臓の病気のことをまだ言えていない。「結婚は無理だと思うな」と唐突に言われたのは、第7話冒頭の結婚式の場で「結婚のメリット」を問われた時に、涼が「ちゃんと伝える」と返していたからだ。
人香から「お願いだから本当のこと言ってよ。寂しいよ」とまで言われても、涼は「なんかあったらちゃんと言うから」と返して、「勝とうな、試合」と拳を合わせながら約束するに留まっていた。とはいえ、第9話の予告では涼が倒れて搬送される場面があるため、人香が知る場面は必ず訪れるだろう。
涼と伍鉄は友達のように言い合える関係に
その涼が心臓の病気のことを言えた相手は、コーチであり宇宙物理学者の伍鉄文人(堤)だった。
涼が「ここまで一緒に来ちゃったじゃん。途中で降りるには、正直楽しくなりすぎた」などと告白したことと同じように、伍鉄もこの前に「以前の僕は孤立した惑星みたいなもんで、でも今は、まぁ重力に引き寄せられるのも悪くないなって」と口にしていた。2人は共にブレイズブルズというチームにいることが、かけがえのないものになっていたのだ。
涼は人香に恋をしているからこそ、心配をかけたくなくて、心臓の病のことを言えなかったのだろう。一方で伍鉄に打ち明けられたのは、もちろんコーチだからという以上に、共に「これまで孤独だったけど、今ではそうではなくなった」こともわかりあった「友達」になれたということもありそうだ。
特に、最後の涼の「2人で行けば、ですよ」といった言葉に対して、「なんだか都合のいい言葉の使い方ですね」などと、まさに友達っぽい距離感で言い合える関係は、とても尊く映った。
「つながっていく」言葉
そして、圭二郎も変わっていく。ブレイズブルズ最年少の坂東拓也(越山敬達)と共にライバルチーム「シャークヘッド」への対決に挑み、ハイポインターの谷口聡一(細田佳央太)に「1対1なら負けねぇよ!」と啖呵を切るが、「お前は涼さんに相応しくない」と一刀両断され、コーチの国見明保(安田顕)からも「連なる線、1つの流れを生み出すプレイをしないと、お前、一生勝てないぞ」と言われてしまう。
しかし、圭二郎と坂東の練習に、キャプテンの立川夏彦(細田善彦)、ミドルポインター中山好太郎(八村倫太郎)、ローポインターの李武臣(水間ロン)も参加する。その時の李からの「5人で行ったら5倍や」という言葉は、後に発表される伍鉄が考案した「涼を中心とした2つのラインと、涼のいない2人のライン」というバリエーションのある戦略および、それを発表した時の圭二郎の「2人なら選択肢は2倍、みんななら…?(涼が笑う)」という言葉につながっている。
また、伍鉄は「わりと寂しい」とこぼした時に、元妻の坂本広江(山口智子)から「大きな第一歩」「大きな伸び代」と言われていたが、それを「(涼の)バディには足りてねぇかもな。あいつは強ぇし速ぇし本物だ」と認める圭二郎へ、そのまま「口に出したら大きな一歩。それは伸び代です」と受け売りで言っていた。
振り返ると、本作はこれまでも誰かの言葉や行動が、期せずして他の誰かの価値観を大きく動かしたり、成長につながったりするという場面がとても多い。それは王道のスポ根らしい展開とはやや異なるため、人によっては「ブレている」「脇道に逸れている」という印象を抱かせてしまったのかもしれない。だが、キャラクターそれぞれの迷いや、それでも誰かの言葉や行動から答えを見つけようとしていく様が、『GIFT』では重要だったのではないか。
また、ローポインターの君島キャサリン秋子(円井わん)が、子どもをつくることについて、夫と「大変だからやめるっていう選択肢、俺にはないよ」「正直怖かった。でも、自分の可能性を狭めたくない」と話し合う場面も重要だった。これに対して涼は、心臓の病気を持ったまま選手権に挑むことに迷い、「後悔するんだろうな。すんげぇ後悔。どっちも怖いわ」と言っていた。人生の重要な選択肢で迷う人もいれば、迷わない人もいる。どちらもまた、美しく映ったのだ。
「突き落とす」という言葉には違和感も
一方で違和感を覚えたのは、宗像桜(宮崎優)のエピソードだ。ポストドクターの彼女は、伍鉄に公衆の面前で仮説を否定された「公開処刑」を世間に訴えようとする。
人香は宗像に「(ブルズのメンバーは宗像とは違って)突き落とされても、何度も何度も立ち上がった」と言い、後にも「ホワイトホール」(物質やエネルギーを放出する理論上の天体)に例えつつ「みんな伍鉄さんに突き落とされて、それでも抗って、立ち向かう」と言っていた。
しかし、伍鉄はブルズのメンバーに呆れられたり、素人が口を出すことを咎められたりする場面はあれど、「突き落とす」ような言動はほとんどしていなかったと思うのだ。宗像への仕打ちとの「対比」としては、納得できない言い回しだ。
もちろん、メンバーそれぞれは自身の困難はもとより、家族やアイデンティティーの問題に直面してきたので、人生という舞台においては「突き落とされた」という言い方はできる。伍鉄はその「どん底」にいたとも言える彼らを見続け、重要な問いを投げかけ、何かを気づかせ、激励し、そして前を向くきっかけを与えてきたのではないか。「突き落とされたみんなが、伍鉄さんと出会って再び立ち上がった」といった言葉の並びであれば、腑に落ちただろう。
とはいえ、人香が宗像に「負けた場所にただ落とすだけのこと。それはあなたの勝ちじゃない」「誰かのせいにするんじゃなくて、立ち向かってください」と言うことには納得できる。
宗像に対する伍鉄の「この仮説に未来はありません」「感情論は時間の無駄です」という発言は確かに無慈悲にも思えるが、客観的に見ると、おそらく本当に間違っているであろう仮説を「間違っている」と言っただけで、宗像はその伍鉄へ「ただ逆恨みをしているだけでは?」という見方もできるので、真っ当な主張だ。その宗像が、車いすラグビーという「好き」を見つけて戦ってきたメンバーの選手権を見て、どう変わるのかも注目だろう。
また、公式SNSでは、最終章において櫻井翔が日本車いすラグビー協会の理事長・柳原俊二役を演じることが発表された。実際にオリンピックでキャスターを務め続けた彼がどのように試合に絡むのかも、とても楽しみだ。
※「宮崎優」の「崎」は正式には「たつさき」表記です。
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