「好きに決まっとる」山口のソウルフード・うどんの「どんどん」、カップ麺で全国へ。開発に3年、経緯は
山口県民に「どんどん好き?」と聞くと、ほとんどの人は迷いなく「好きに決まっとる」と言うだろう。
「どんどん」。山口を中心に展開するうどんチェーンで、県外ではあまり知られていないかもしれない。
ただ、地元では子どもからお年寄りまで、誰もが一度はお世話になったことのあるお店だ。
幕末の思想家・吉田松陰の出身地として知られる城下町・萩市で誕生し、長年にわたって県民に愛されてきた“ソウルフード”。
そのどんどんが監修したカップ麺が、5月18日から全国で販売されている。
手掛けたのは、どんどんを運営する「スナダフーヅ」(山口)と、「サッポロ一番」で知られる大手即席麺メーカー「サンヨー食品」(東京)だ。
どんなカップ麺なのか、発売に至った経緯は何かーー。ハフポスト日本版は、両社に話を聞いた。
ただ、その前に、まずは山口県出身の筆者(相本)から、どんどんという店について紹介させてほしい。
山口県のソウルフード「どんどん」「注文から15秒の爆速提供」
子どもの頃、どんどんは決して特別な店ではなかった。家族で行く、いつもの店。でも、地元を出てから気づいた。「あの味が、妙に恋しい」。
瀬戸内海に面した小さな街から18歳で上京して以来、帰省のたびに真っ先に向かう場所がどんどんになった。我ながら現金なものだと思いながら、いつもおいしくいただいている。
どんどんに来ると、まず目に入るのがカラフルな食券だ。
スナダフーヅによると、色と形の組み合わせで約90種類あるが、スタッフは見た瞬間にメニューを判別できるという。
例えば、「肉うどん」はピンク色の長方形。レジで受け取り、テーブルに置いておくと、肉うどんが運ばれてくる。
タブレットやセルフ注文が主流の時代にあって、昔ながらの仕組みが令和の今も現役で動いている。そこに、温かみを感じる。
また、「提供スピードの速さ」もどんどん名物の一つ。
日本テレビ系「秘密のケンミンSHOW」で「注文から15秒の爆速提供」と紹介され、SNSで話題になったこともある。
15秒は極端な例としても、どの店舗でも提供の速さを心がけているという。
それを支えるのが、「釜担当」と呼ばれる経験豊富なスタッフだ。
麺が茹で上がるまでには時間がかかるため、釜担当はその日の天候や客の流れを読みながら、”先読み”して麺を茹でているという。
どんどんの肉うどん「わかめ」のおむすびも名物
さて、肝心の「味」の話に移る。
どんどんの麺は、さぬきうどんのようなしっかりしたコシとも、博多うどんのふわふわとした柔らかさとも違う。
表面はとろりとしていて、ツルツルと口に入り、かむともちっと弾力がある。
そして何より、だしだ。口の中にふわっと旨みと甘みが広がる。
このだしは毎日、各店舗で丁寧にとっている。チェーン店でありながら、その手間を欠かさない。
新鮮なネギが取り放題なのも魅力で、好きなだけどっさりかけて食べる。
萩の名物「わかめ」を使った「おむすび(わかめ)」も外せない。
萩の老舗「井上商店」に特注したわかめをたっぷりまぶした、どんどん専用の一品だ。
うどんとおむすび(わかめ)をセットで食べて、ようやく「どんどんに来た」という気がする。
そんなどんどんの味が今、カップ麺として全国に届こうとしている。
どんどんで人気のおむすび(わかめ)カップ麺誕生まで3年
どんどんのカップ麺が生まれるまでには、3年の歳月がかかった。
サンヨー食品広報宣伝部によると、きっかけはスナダフーヅの砂田透社長が「ご当地熱愛麺」の商品を目にし、サンヨー食品に声をかけたことだった。
ご当地熱愛麺は2022年にスタートした人気シリーズ。福島県の「坂内食堂 喜多方本店」や埼玉県の「山田うどん食堂」など、全国10店舗との取り組み実績がある。
地域に根付いた味を全国に届けるというコンセプトが、山口県民のソウルフードであるどんどんとまさに合致した。
2023年に商品化の検討が始まったが、開発は一筋縄ではいかなかった。難しかったのは、どんどんらしい「甘めでやさしいだし」の再現だ。
試作の段階でスナダフーヅ側から指摘があり、旨み、甘み、塩味のバランスを何度も見直した。
お店の味をそのまま再現するだけでなく、湯を注いだときに麺、つゆ、具材が一体となっておいしく感じられるよう、即席麺としての仕上がりにもこだわった。
こうした丁寧な調整を経て、2026年5月18日に「サッポロ一番 ご当地熱愛麺 うどんのどんどん監修 肉だしうどん」と「同 わかめうどん」の2種類が発売された。
店舗によっては売り切れが出るほどの好評を博しており、サンヨー食品広報宣伝部の担当者は取材に、「山口ゆかりの人たちからの反響が大きく、どんどんが愛されていることを強く実感した」と述べた。
発売されたどんどん監修のカップ麺「山口県民が自分ごとのように喜んでいる」
どんどん側もカップ麺への手応えを語る。
スナダフーヅ営業部長・営業企画室長の林健太郎さんは取材に、「山口県民が自分ごとのように喜んでくれている」と目を細めた。
カップ麺は、県外の人たちにどんどんを知ってもらうための入り口にもなる。
林さんは、「まずはカップ麺でどんどんを知ってもらって、山口に来た時に立ち寄ってもらえれば。いつかはどんどんに行くために山口を訪れよう、となれば、こんなに嬉しいことはない」とも語った。
また、だしの再現に特に力を入れた、と振り返る。
「ただ甘いだけではない。肉の旨みも加わった、あの特徴のある甘みを再現するのが非常に難しかった。3年かかったが、どんどんらしい雰囲気はカップ麺でもしっかり表現できている」
県民からの反響も大きく、カップ麺を食べた後に店舗へ足を運ぶ人も現れているという。
また、「カップ麺より店舗のうどんのほうが早く提供される」と喜ぶ地元の人もいるそうだ。
カップ麺を通じて、どんどんの”提供の速さ”の凄さを改めて実感した、ということだろう。
林さんは「カップ麺という夢が一つ叶った。全国の人にどんどんのうどんをぜひ知ってほしい」と話した。
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