はじめに
「SaaS is dead」という言葉は、強い標語としては目を引きます。しかし業務システムの実態から見ると、この言葉はかなり粗いです。正確には、死ぬのはSaaSではなく、SaaSの顔をしたニセSaaSです。
本来のSaaSは、業務を標準に寄せることに意味がある領域で成立します。人事給与、経費精算、ID管理、電子契約、会計の一部のように、会社ごとに競争優位を出す必要が薄く、むしろ標準化によって事故や属人化を減らせる領域です。一方で、SAP型の巨大ERPのように、企業ごとの販売、生産、購買、在庫、物流、原価、承認、グループ間取引といった業務構造そのものに踏み込むものを、SaaS...
はじめに
本稿の題は「なぜ、AnthropicのMythosはコケおどしであると断言できるのか?」です。ここで言うコケおどしとは、能力が無いという意味ではなく、実体ある能力を本来の性質と異なるカテゴリの達成として演出する売り方を指します。一定以上の能力があることは前提であり、問われるのはそれをパラダイムシフトとして語る妥当性です。なお本稿でいうパラダイムシフトには、内部アーキテクチャの革新と応用論的な不連続の両方を含めます。アーキテクチャは既存系列でも、量的拡張からは出てこない質的な不連続が成立していれば、それはパラダイムシフトと呼べる対象です。
Claude Mythos Prev...
はじめに
Claude CodeやCodexの登場によって、IT業界の開発現場は、単に「プログラミングが速くなった」だけでは説明できない構造変化を起こしています。重要なのは、AIが優秀なプログラマーを完全に代替したことではありません。むしろ、AIによって大量の「それっぽいコード」が短時間で返ってくるようになり、熟練者がそれを監修する構造が強まったことです。
これは、アニメ業界における動画、第二原画、外注、作画監督、チーフ原画マンの関係にかなり近いものです。アニメ業界では、すべての絵をトップアニメーターが一枚ずつ描くわけではありません。大量の作業は外部や若手に渡され、返ってきたものを作...